お風呂場の排水溝のふたの掃除をしていて
うっかり指先にケガをした。

親指の指先に小さな切り傷。



そのままお昼ご飯の支度をはじめるまで
すっかり忘れていたのだけれど…。

スープの重ね煮にひとつまみ
お塩を重ねるその時に　ズキン。

傷が痛んだ。



気がついたのは

わたし　お塩の時間　好きだったんだということ。
おいしくなあれ　とひとつまみ

その時間の穏やかなこと

小さな傷に呼び戻されて
思い出した　大切なとき。



梅干しのみをほぐすとき
みかんの皮をむくとき
塩むすびを結ぶとき

…食べモノばっかりだな。
お洗濯や食器の洗いあげ
洗髪や書き物も。

指先は思いのほかよくはたらくものだと気づいたこの日。



実家の母は毎年　木枯らしのころになると
指先のところどころにあかぎれがして
痛々しく思ったことを思い出した。

かといって炊事や洗濯をかってでたわけでもなく…

今日の親指の傷がまたズキンと痛んだ。




いつもは右手のひとつまみ。
今日は左手でひとつまみ。

傷みを思う小さな出来事。